がんで死んだ友達
私にはがんで亡くなった友達が二人います
それ相応の年になったという事なんでしょうけど
今日はそのうちの一人について書きたいと思います
波乗り友達T君との出会い
私が波乗りを始めたサーフショップで、毎週日曜日にみんなで波乗りに行くサーフトリップをやっていました
そして初めてそのトリップに参加した時に彼はいました
彼は恥ずかしそうに挨拶をし、その時は何をしゃべったか覚えていません
それからは毎週そのトリップに参加していたのですが、もちろん彼も参加していて、千葉や茨城の海に一緒に行って波乗りを楽しみました
年に数回は伊豆や福島等へも泊りで行って、夜は一緒に酒を飲んで、波乗りが一番楽しかった時期です
そして私は地方に転勤になり、離れ離れになりました
その後は特に連絡も取らずに十年以上の月日が経ちました
魅力的なT君
その後十数年後に彼と再会し、また毎週日曜日に一緒に波乗りに行くようになりました
T君の凄さはなんと言っても自分の考えをしっかりと持っていて、周りに流される事なく生きている事でした
でもとても優しくて人との競争が大嫌いなので、仕事に恵まれている訳ではありませんでした
おまけに恥ずかしがり屋なので彼女がいた訳でもありません
バブルがはじけた後の就職氷河期世代だったと思うので、それも不運だったかもしれません
でもそんな事は愚痴にもこぼさず、誰からも愛されるキャラクターで、私も何度彼の笑顔に癒された事かわかりません
また波乗りへの行き帰りの車の中で色々な話をしてアドバイスも沢山もらいました
彼と話していると、経済的な成功が人間の魅力ではないなと思わせる、ちょっと珍しい存在でした
がんになってから
ある日の週末、私がいつもの様に
「明日は行くかい?」とメールを打った所
「しばらく行けない、がんになったみたい」と返信が
「えっ! 何がん?」と聞いた所
「膵臓がんみたいとの事でした」
びっくりしました
そーいえば先週おなかの調子が悪いと言ってましたが、まさかそんな急に
すぐにネットで調べて膵臓がんの恐ろしさを知ったときは身震いしました
私はたまたまその時に海外出張を1ヶ月予定していて、彼には会わずに出張に行きました
海外出張から帰って来て、彼と会う事になりました
既に周りの友達からステージ4だという情報は仕入れていましたので
「どんな顔をして会えばいいのか?」
少し悩みましたが、とりあえず普通にしていようと思い会いました
彼はがんになった事について動じている様子はなく、私に会う事を素直に喜んでくれました
実際は動じていたのでしょうけど、表にはまったく出さなかったです
ステージ4で手術できない状態ですから確実に死ぬ訳で、その恐怖を冷静に受け止めている強さが彼にはありました
そして友達にすごく会いたがっていて、それから2ヶ月間、多くの波乗り友達が集まって来てくれて、できる限り波乗りを一緒にしました
このブログの写真は最後に彼と波乗りをした後に見た夕日です
数十年前に一緒に見た夕日と変わりませんでした
その後は病院に入院する様になって見る見るやせ細っていきました
お見舞いに行っても何をしゃべったらいいのか辛かったですが、彼は快く受け入れてくれて、最後まで涙は見せませんでした
人の死って
ある日突然やって来るものなんです
彼は何も悪くないし、酒もタバコもやらないし、女も追いかけない、人とも争わずに多くの友人から愛されてました
「なんで彼が?」とみんな言ってました
世の中悪い奴はいっぱいいるのに!
でも死ってそんなもので、いつ誰にでもフツーに訪れるもののようです
なのでやっぱりいつ死んでもいい様に生きるべきです
波乗り行く途中、いつも彼に早期退職について相談してましたが、必ず「辞めない方がいい」と説得されてました
おそらく彼は経済的に恵まれている私に、早まって欲しくなくて言っていたと思います
T君いままで本当にありがとう
君と過ごした日々は本当に楽しかったです